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【専門医が警鐘】便潜血「陽性」と判定されたら…受診はいつまでに? 検査を遅らせるリスクと最適な受診タイミング

便潜血  / 大腸

西八王子やまたか消化器内視鏡クリニック(やまクリ)ブログです。

 

健診で便潜血(FIT)が「陽性」と言われて、

 

「いつまでに受診すればいい?」

「検査は急いだほうがいい?」

「2回のうち1回だけ陽性だけど様子見していい?」

 

と不安になりますよね。ここでは、専門医の立場から、『受診のタイミング』『検査が遅れることのリスク』を説明していきます。

 

 

結論から先にお伝えします!

  • ●便潜血検査は目に見えない小さな出血を調べる検査です → 便潜血陽性は精密検査を!!
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  • ●できれば数週間以内に受診を。遅くとも、1〜2か月以内に精密検査を完了(基本は大腸内視鏡)しましょう。
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  • ●先延ばしはNG:海外研究で、検査が9〜10か月遅れると、がんの見つかる割合や進行度が上がると分かっています。
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  • ●日本でも早期の精密検査が原則とされています(FITは推奨度が高い検査)。
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なぜ「早め」が大事?—遅らせるほど病気のリスクは上がります

便潜血(FIT)は、がんやポリープからの「ごく少量の出血」をひろう検査です。

陽性は「原因を調べるサイン」。

 

大腸ポリープは小さければその場で切除ができます。少し大きいポリープや早期がんは、特殊な内視鏡で切除ができる可能性があります。

 

仮に手術が必要となった場合でも、腹腔鏡で切除できますし、進行度を示すステージも低くなります。

 

抗がん剤も不要です。

 

大腸がんは早期発見によるメリットが大きいと考えられます。

 

検査までの時間が長いほどリスクが上がり、10か月以上の先延ばしで進行度が上昇するリスクが報告されています。

 

 

「いつまでに受診すればいいの?」受診と検査完了の目安

目標:1か月以内に受診2か月以内に検査完了をめざしましょう!

 

  • ◎ 0〜4週(1か月以内):受診 → 医師の判断で大腸カメラ予約(いちばん良いタイミング)
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  • ○ 〜8週(2か月):この期間内に検査を終えるとベスト
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  • △ >3か月:できるだけ早めの受診と検査を(病気が進むおそれ)
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  • × >9〜10か月:リスク増

 

仕事や家庭の都合ですぐに検査がむずかしい場合も、まずは外来を受診して検査日だけ先に予約していただくのが安心です。

 

 

「痔や生理かも?」—それでも受けた方がいい理由

痔(じ)や生理でも陽性になることはありますが、自己判断の様子見はおすすめしません

 

痔が主な原因でも、奥にポリープやがんが見つかることがあります。陽性=内視鏡でしっかり確認が最適です。

 

 

便潜血陽性後の精密検査「大腸カメラ」の役割

便潜血が「陽性」の原因をはっきりさせるには大腸カメラ(大腸内視鏡)が必要です。

 

FITは「血がまざっている」ことは分かりますが、どこからなぜ出ているかは分かりません。大腸カメラなら直接見て出血の場所と原因(ポリープ・炎症・がん など)をその場で確かめられます。

 

1. 確定診断と生検(組織検査)

  • 目で見て確認し、必要に応じて少量の組織を採取して詳しく調べます。
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  • 「良性か悪性か」「どれくらい進んでいるか」が分かり、次の治療方針がはっきりします。
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  • 出血の場所が分かり、痔や炎症との区別に役立ちます。
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2. 早期治療

  • 小さなポリープなら、同じ日の検査中に切除できます
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  • 大きめのポリープや早期がんは、特殊な内視鏡での切除が必要になるので総合病院で切除します。(おなかを切る必要はありません)
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  • 早めにポリープを取ることで、将来の大腸がん予防につながります。
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3. QOL(生活の質)の維持

  • 当院は鎮静(静脈麻酔)に対応。多くの方が「気づいたら終わっていた」と感じます。
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  • 原因が分かることで不安やストレスが軽くなります。
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  • 結果にもとづいて次回検診の間隔生活上の注意を具体化でき、ムダな受診を減らせます。
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(補足)

・内服中のお薬(糖尿病薬・抗血小板薬・抗凝固薬など)は、必ず事前にご相談ください。
・鎮静を使う場合、当日の車・自転車の運転は不可です。
・組織検査やポリープ切除を行ったときは、一時的な運動・食事制限があります(当日ご説明します)。
・組織検査の結果は後日のご説明になります。

 

 

当院での受診〜検査の流れ(例)

  1. 初診(外来):健診結果・症状・内服薬・今までの病気をチェック
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  3. 検査予約:医師の判断で大腸内視鏡を予約(鎮静対応/女性医師の担当も可)
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  5. 前処置:下剤の飲み方と、検査前の食事の説明
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  7. 検査当日:下剤を飲んで来院。鎮静でつらさを少なくして検査。必要ならその場でポリープ切除
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  9. 説明:画像を見ながら結果を説明。組織検査が必要なら、後日あらためて説明

 

公的な情報として、FITは死亡率を下げる効果が確認されています。陽性のときは大腸内視鏡が基本。合併症は少ないとされています。

 

 

よくある質問(Q&A)

Q1. 痛みが心配…眠って受けられますか?

A. 当院は鎮静(静脈麻酔)に対応しています。多くの方が「思ったより楽だった」「気づいたら終わっていた」と感じます。安全に気をつけて、丁寧に検査します(偶発症は少ないとされています)。

 

Q2. 1回だけ陽性でした。様子見してもいい?

A. 1回でも陽性なら精密検査をしてください。小さな病気だと陰性になることがありますし、1回だけ陽性で病気が見つかるケースもあります。

 

Q3. どの科に行けばいい?

A. 消化器内科/内視鏡が得意なクリニックへ。FIT陽性から大腸内視鏡までスムーズに進める施設を選ぶと安心です。

 

Q4. どのくらい先延ばしは危険?

A. できれば1〜2か月以内に検査完了を。9〜10か月以上の先延ばしはリスクが上がると報告されています。

 

 

当院の強み(やまクリ)

  • 鎮静内視鏡を標準化:つらさをできるだけ少なくします
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  • 女性医師の担当が可能:ご希望をお伝えください
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  • 西八王子駅 徒歩2分:通いやすい場所です
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  • 1か月以内の検査枠:まずはお電話・WEBでご予約を(空き状況により調整いたします)
  • 予約ページ大腸カメラのご案内

 

 

まずは「診察→検査枠の確保」をしましょう!

  • 陽性=要精密検査。理想は数週間以内、遅くとも2か月で検査完了
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  • 予定が読めないときほど、先に受診して予約だけでも確保しておくのがおすすめ。
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  • 不安が強い方は、鎮静女性医師など、安心できる選択肢をご相談ください。

 

 

予約前チェックリスト(持ち物・準備)

  • 健診結果(判定書)
  • お薬手帳(糖尿病薬・抗血小板薬・抗凝固薬など)
  • これまでの病気・アレルギー
  • 当日の付き添いの有無(鎮静ご希望の方は、帰り方も確認)

 

 

参考

  • Corley DA, et al. JAMA 2017:10か月超の遅延でCRCリスク・進行度が上昇。
  • Kaiser Permanente(ニュース/プレス):9か月超でリスク増、検査は早いほど良い。
  • 国立がん研究センター「大腸がん検診ガイドライン(2024)」:FITの推奨度が高く、陽性→速やかな精密検査を明記。
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記事監修(この記事の執筆者)

西八王子やまたか消化器・内視鏡クリニック 副院長:山高謙
•日本外科学会
(外科専門医)
•日本消化器内視鏡学会
(消化器内視鏡専門医)
•日本消化器内視鏡学会
(上部消化管内視鏡スクリーニング認定医)
•日本消化器内視鏡学会
(下部消化管内視鏡スクリーニング認定医)
•日本ヘリコバクター学会
(H.pylori(ピロリ菌)感染症認定医)
•大腸肛門病学会

 

※本記事は一般的な医療情報と筆者の臨床経験にもとづく見解をふくみます。体質や症状により最適な対応は異なります。心配なときは医療機関でご相談ください。急な強い症状がある場合は、救急受診も検討してください。