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【専門医がお答えします】便潜血「陽性」で何%がん?検査で見つかる病気の確率

便潜血  / 大腸

便潜血陽性は本当に「がん」なのか?国内外データと専門医の視点から、がんが見つかる割合やポリープの発見率をわかりやすく解説するアイキャッチ

 

「おなかとおしりの相談窓口」西八王子やまたか消化器内視鏡クリニック(やまクリ)ブログです。

より身近で、より安心な内視鏡を目指して、日々診療をおこなっています。

 

 

こんな不安はありませんか?

健診で「便潜血 陽性」と言われて、

  • ・「陽性ってことは『がん』があるってこと?」

  • ・「病気の確率は? 逆に、何もない人もいるの?」

  • ・「痔でも陽性になるって聞くし……本当に大腸カメラが必要?」
  •  

と、「病気が見つかるのが怖い」気持ちと

「痔かもしれないし…大丈夫かも?」という気持ちの間で揺れている方はとても多いです。

 

今回は、国内外の研究・論文のデータをもとに、

便潜血「陽性」の中で
どれくらいの割合で
「がん」「ポリープ」「痔など」が
見つかるのか?


できるだけ数字を使ってわかりやすくお伝えします。

 

 

結論:便潜血陽性で「がん」は100人中、2~3人

日本の検診データをまとめると、
便潜血「陽性」で大腸カメラを受けた方の結果は次の通りです。

大腸カメラで
見つかるもの
割合
(目安)
大腸がん
(早期+進行)

100人中
2~3人
大きいポリープ
(将来がんになる可能性有)

100人中
15~20人
ポリープ全体
(小さいものを含む)

100人中
40~50人
特に目立った異常なし
(痔など治療不要含む)

100人中
40人

ポイントだけ先に

  • ・「大腸がん」が見つかるのは、陽性のうち100人中2〜3人くらい
  • ・「ポリープ(大きいモノ、小さいモノ含めて)は約2人に1人
  • ・「何もない人(痔など治療不要を含める)」は100人中40人くらい

つまり、

  • 「がんの人は少数派」だけれど、
  • 「治療が必要な病気の人は半分くらいいる

というイメージです。

 

① 「便潜血 陽性」とは? ― 検査の役割を整理

便潜血検査(FIT)は、便の中にまざったごく少量の血液をひろう検査です。

 

自分で便を取る簡単さと、

目で見て分からないレベルの血液を見つけられる精度の高さがあり、

世界中で行われています。

 

ただ、便潜血検査だけでは

  • どこから出血しているのか?
  • 原因が「がん」なのか「ポリープ」なのか「痔」なのか?

ということは分かりません。

そこで必要となるのが、大腸カメラ(大腸内視鏡)です。

 

 

② 日本の検診データ:がんは何%くらい?

日本対がん協会や厚労省のデータや海外の論文をもとにすると、

  • 1万人が検診を受けると、500〜1000人(5〜10%)くらいが「陽性」になります。
  • そして、便潜血陽性の中で、本当に大腸がんと診断されるのは10〜20人程度(2〜5%)という報告があります。

つまり、

  • 「便潜血陽性者のうち大腸がんが見つかるのは、100人中2〜5人くらい」

ということになります。

 

ポリープはどれくらい見つかる?

大腸がんだけでなく、「将来がんになりやすいポリープ(前がん病変)」が見つかることも非常に重要です。
便潜血陽性者のうち約40%でポリープが見つかるとされています。
Crouse AL, et al. Arch Pathol Lab Med. 2015;139(11):1441-5. doi:10.5858/arpa.2014-0454-OA.

 

さらに、

  • がんの一歩手前のポリープは、
    15〜20%前後という報告が多くあります。
  •  

ここが大事なポイントです。
「がん」そのものは数%でも、
「がんになる一歩手前」のポリープは5人に1人の割合で見つかる

 

そして、こうしたポリープは、
大きくなる前に切除することで、
将来の大腸がんを予防することができます。

 

施設や対象によって差はありますが、
「便潜血陽性で大腸カメラをすると、
100人中40~50人くらいにポリープがみつかる
と言えるでしょう

③ 「痔」や「生理」でも陽性になる? それでも検査した方がよい理由

痔や生理は「偽陽性」の原因になりうる

痔(いぼ痔・切れ痔)からの出血で便潜血陽性になることはあります。

 

海外の研究では、痔を持っている人は便潜血が「偽陽性」になりやすい
と報告されています。PMC+1

 

ただし、「痔がある=それだけが原因」とは限りません

  •  
  • 「痔とポリープが同時に存在していた」
  • 「痔だと思っていたら、その奥にがんが隠れていた」

 

ということも、決して珍しくありません。

痔もあるけど、他の病気がないかを大腸カメラで確認する
というスタンスが、医師としては安心だと考えています。

④ 1回陽性・2回陽性で確率は変わる?

日本では2日法(2日分の便をとる方法)が一般的です。


日本の研究では、

  • ・「2回のうち片方だけ陽性」の人では、大腸がんの割合が約2〜3%
  • ・「2回とも陽性」の人では、大腸がんの割合が約11%(100人中11人)」
  • ・前がん病変をふくめると、「2回とも陽性」では約24%(100人中24人)」

と報告されています。

※参考:
https://bmjopen.bmj.com/content/bmjopen/11/5/e046055.full.pdf?utm_source=chatgpt.com
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsgcs/55/5/55_666/_pdf/-char/en?utm_source=chatgpt.com

 

→ ざっくり言うと、

  • ・「1回だけ陽性」では、『がん』の人が100人中2〜3人くらい
  • ・「2回とも陽性」だと、『がん』や『前がん病変』の人が増える(4〜5人に1人以上)

と考えられます。

⑤ 「何もなかった人」はどれくらい? ― それでも検査を受ける意味

便潜血「陽性」で大腸カメラをしても、

  • はっきりした異常が見つからない人が100人中30~40人ほどいます。

ここで重要なのは、
「何もなかった=検査を受けた意味がなかった」ではありません

  •  
  • 「大腸がんや大きなポリープはない」と確認できる

  • そして、病気が見つからなくても、

    「〇年後にまた検査を受ければ大丈夫だな」と、
    今後の方針がはっきりする


これは、精神的な安心という意味で、とても大きい価値があります

 

⑥ 外科医としての実感:早期発見の大切さ

私はもともと、慶應義塾大学医学部 外科学教室の中でも大腸がんの手術を専門にしていました。


実際にお腹を開けて臓器を見て、触って、がんを切除する立場にいたからこそ、次のことを強く感じています。

 

  • ・早期の段階で見つかれば、
    → 内視鏡だけで治療できる
  •  
  • ・手術が必要になっても、
    → 小さな傷・短い入院で終わる
  •  
  • ・抗がん剤は、
    → 不要になったり、短期間で済む
  •  
  • ・通院の回数・仕事を休む日数・経済的な負担が減る

 

逆に、見つかるのが遅くなるほど

  • 大きな手術
  • 長期の通院・抗がん剤
  • 再発への不安
  •  

と、病気の進行とともに負担が大きくなっていきます。

 


便潜血「陽性」は「がんの宣告」ではなく、

「おなかの中を確認してほしい」という体からのメッセージ

だと考えていただければと思います。

⑦よくある質問(Q&A)

Q1. 便潜血が「1回だけ陽性」でした。様子を見てもいいですか?

A. 1回だけでも、検査を受けた方が安心です。

 

「1回だけ陽性」の人の中に、大腸がんの人が100人中2〜3人くらい

  • 「がんの一歩手前のポリープ」をふくめると、もっと多くの人に病変が見つかる

というデータがあります。


「1回だけだから軽い」「きっと痔だろう」と決めつけず、
一度、大腸カメラで中を確認しておくのが安心です。

 

Q2. 「痔があるから、それで陽性になっただけでは?」と思ってしまいます…

A. 痔があっても、他の病気がないとは言い切れないので要注意です。

 

たしかに、

  • いぼ痔・切れ痔
  • 生理中の採便

でも、便潜血は陽性になることがあります。

 

実際には、

  • 痔+ポリープ
  • 痔+早期がん

のように、原因が2つ重なっていることもあります。

 


「痔もあるけど、ほかに隠れた病気がないか?」
を一度カメラで確認しておくことが、将来の安心につながります。

 

Q3. 便潜血が陽性になったら、どのくらいの期間で受診・検査すべきですか?

A. できれば「数週間〜1〜2か月以内」を目安にしてください。

 

「忙しいから後で…」と先のばしにせず、
カレンダーに予約を入れてしまうことが、体を守る一歩になります。

 

Q4. 大腸カメラは痛いですか?こわくて踏み出せません…

A. 鎮静剤(静脈麻酔)を使うことで、多くの方が「思ったよりラクだった」とおっしゃいます。


当院では、鎮静剤を使った検査を標準で行っています。

  • 「気づいたら終わっていた」という方も少なくありません。
  • また、腸の曲がり具合などを見ながら、できるだけお腹の張りや痛みが出ないように工夫しています。

「こわい」「不安」という気持ちは、皆さんお持ちです。
その不安を少しでも減らすために、麻酔の使い方や検査の流れを事前に丁寧に説明しますので、ご相談ください。

参考ブログ:【専門医が解説】西八王子やまたかクリニックが徹底追求する「痛くない大腸カメラ」— 鎮静剤と最新技術の本当のところ | 西八王子やまたか消化器内視鏡クリニック(山高クリニック)

Q5. 学校や仕事は休まないといけませんか?

A. 検査の受け方によって変わりますが、「午前だけ検査して、午後から仕事に行く」方もいらっしゃいます。


当院では、

  • 午前中で終わる大腸カメラ(モーニング大腸カメラ)を行っています。
  •  
  •  
  • 「午後からは軽めの仕事だけにする」
    「この日は学校・仕事を休んで、ゆっくり休む日にする」


など、ライフスタイルに合わせたスケジュールをご一緒に考えます。

 

※鎮静剤(静脈麻酔)を使用する場合は、当日の車やバイク・自転車の使用はできません。

Q6. 検査で何もなかったら、お金や時間がムダになってしまいますか?

A. 「何もなかった」と分かること自体が、とても大きな価値があります。

  • 大腸がんや大きなポリープがないと分かることで、
    → 「今は大丈夫」という安心が手に入ります。
  •  
  • そのうえで、
    → 「次の検診は何年後にしようか?」
    → 「生活習慣はどこを見直そうか?」
    と考えることができます。
  •  

「病気が見つかるためだけの検査」ではなく、
「今の自分の状態を確認し、これからを安心して過ごすための検査」
と考えていただければと思います。

Q7. 費用はどのくらいかかりますか?ポリープを切ったら高くなりますか?

A. 保険診療になりますが、「検査だけ」と「ポリープ切除あり」で金額が変わります。

  • 便潜血陽性での大腸カメラは、健康保険の適用になります
  • 費用は
  • 検査だけで終わる場合
  • ポリープ切除を行った場合
  • 入院が必要な処置になった場合

などで変わります。
具体的な金額は、保険の種類や検査内容によって異なります。
「だいたいどのくらいかかるか知りたい」という方は、
『大腸カメラ検査 検査費用』をご覧ください。

⑧ まとめ:「陽性なら、怖くても大腸カメラを」

便潜血が「陽性」になったら、
怖くても大腸カメラを受けたほうが良いです。

  •  
  • 便潜血陽性で、
  • 大腸がんは100人中2~3人
  • ポリープ全体では100人中40人
  •  
  • 「痔があるから…」と自己判断すると、
    奥に隠れたがんやポリープを見逃す危険があります
  •  

「がんが見つかるのが怖いから、検査を受けたくない」
というお気持ちはよく分かります。

一歩踏み出すのに勇気がいる検査ですよね。

 

だからこそ、やまクリでは

  • ・下剤の飲み方・種類を工夫し、負担をなるべく少なく
  • ・鎮静剤(静脈麻酔)を使って、「思ったよりラクだった」と感じてもらえる検査を
  • ・女性の方には、女性医師による検査も選んでいただける体制を整えています。

 

便潜血が「陽性」になったら、
「がんかどうか」を怖がる前に、
「いま確認できるチャンス」を活かしてください。

⑨ 当院のご案内 ― 「おなかとおしりの相談窓口」を目指して

西八王子やまたか消化器内視鏡クリニック(やまクリ)では、
おなかやおしりの悩み、検査を受けるときの不安や心配を減らして、
病気の早期発見に努めています。


そのため、「おなかとおしりの相談窓口」として気軽に相談できるクリニックでありたいと思います

  •  
  • ・午前中で終わる大腸カメラ
  • ・1日で終わる胃と大腸の内視鏡検査(同日検査)
  • ・女性医師による内視鏡検査にも対応
  • ・土曜日午前も検査枠あり
  • ・小さいポリープなら、その場で切除(ポリペクトミー)可能
  • ・大きなポリープやハイリスク病変の場合は、総合病院へ責任をもってご紹介

という体制で、「より身近で、より安心な内視鏡」を目指しています。

 

かつて大腸がん手術を専門としていた経験を生かして、
「がんになる前の段階で見つけて、できるだけ体にやさしい治療で終わらせる」
ことを大切にしています。

そのために、ひとりでも多くの方に、
「今のうちに見つけておいてよかった」と思っていただきたい

  • 便潜血が陽性になった
  • がんが心配だけど、検査が怖くて動けない
  • 「痔だと思うから、様子を見ようかな」と迷っている

そんな方は、一度 「相談だけ」でも大丈夫です。
「大腸カメラを今すぐ受けるべきか」
「どのくらい急いだほうがいいか」
「鎮静は使ったほうがいいか」
など、あなたの生活やご希望に合わせて、一緒に考えていきましょう。

 

※本記事は、国内外の研究・ガイドライン・クリニックの公開情報と、筆者の臨床経験にもとづく一般的な解説です。個々のケースで最適な判断は異なります。気になる結果や症状がある場合は、必ず医療機関で直接ご相談ください。