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【専門医解説】 鮮血の血便なのに痛みがない…「痔だと思っていい?」と迷ったら知ってほしいこと

大腸  / 血便

【おなかとおしりの相談窓口】
西八王子やまたか消化器内視鏡クリニック
(やまクリ)ブログです。

 

 

「便に血がついてたけど、
痛みはない」


「真っ赤な血だから、
痔だと思って様子を見ている」

 

外来で、本当によく聞く相談です。

 

血便は本来とても不安になる症状です。
ところが実際には、

「鮮血」+「痛みがない」

という組み合わせで逆に安心してしまい
受診を遅らせることがあります。

 

この記事では、
なぜ「痛みがないのに血が出る」のか
なぜ「痔と直腸がんは症状だけでは見分けられない」のか
できるだけ分かりやすく説明します。

【結論】
痛みのない鮮血は
「痔」でも「がん」でも
起こる

痛みのない鮮血の血便は
「痔」でも「直腸がん」でも
起こりえます

そして、症状だけでこの2つを見分けることは難しいです。

だからこそ、

  • ・痛みがないから大丈夫
  • ・若いからがんはない
  • ・以前から痔があるから今回も痔

と自己判断せず
一度は内視鏡で確認することが大切です。


なぜ「痛くないのに血が出る」のか?

これは体のつくり(解剖学)によるものです。

ポイントは「歯状線(しじょうせん)」

直腸と肛門の境目には、歯状線というラインがあります。

このラインを境に、
直腸側は痛みを感じにくい神経
肛門側は皮膚と同じで痛みに敏感な神経
それぞれ分かれています。

つまり・・

内痔核(いぼ痔)直腸がんは、
痛みを感じにくい直腸側にできるため、
出血しても痛くないことがあります。

一方で、切れ痔や血栓性外痔核は肛門側にできるため、
痛みを伴いやすいのが特徴です。

「痛みがない=軽い」ではありません。

「鮮血」という色が
意味すること

便に混じる血の色は、出血している場所のヒントになります。

  • ●鮮やかな赤(鮮血)
    肛門・直腸に近い場所からの出血が疑われます

  • ●暗赤色
    大腸の奥側の可能性があります

  • ●黒い便(タール便)

    胃・十二指腸など上部消化管からの出血が疑われます

「鮮血で、痛くない」場合、
「内痔核」と「直腸がん」どちらも当てはまる
ことがある点が重要です。

 

痔と直腸がんは
症状がとても似ています

実際の外来でも、
症状だけでの見分けはほぼ不可能です。

「痔があるから、この血は痔のせい」
と考えがちです。


実際には、
痔とポリープ痔と直腸がん
同時に存在することもあります。

 

「痔」がある=「がん」がない
という証拠にはなりません。


痔があることを確認して、
その奥を大腸カメラで確認する。
このセットが安心・確実です。

共通点

 

  •  鮮血が出る
  • 排便時・排便後に血がつく
  • 初期は痛みがないこともある

 

違いが出るのは
「進行してから」のことも

  •  便が細くなる
  • 残便感が続く
  • 便秘と下痢を繰り返す

こうした症状が出た時点では、
病気が進んでいる可能性もあるため、
早めの確認が大切です。

 

若い人も他人事ではありません

多くはありませんが、
20〜30代の大腸がん(若年性大腸がん)
増えています。

若い方は健診の対象外になりやすく、
「若いから大丈夫」と様子を見てしまい、
発見が遅れることがあります。

若い方においても、血便は重要なサインです。

 

当院が大切にしていること

日々の診察で実感するのは、


「痛いのが怖い」
「恥ずかしい」
「忙しくて時間がない」


といった理由で
肛門の診察や、大腸カメラ検査を
後回しにしがちだということです。

 

だからこそ
受けやすさ(負担の少なさ)

確実な診断
の両立を大切にしています。

当院の大腸カメラの特徴

  • ●鎮静剤(静脈麻酔)を用いて、緊張や不安、痛みの感じ方をやわらげます

  • ●炭酸ガス(CO2)
    を使用し、検査後のお腹の張りを軽減します

  • ●腸を無理に伸ばさない挿入の工夫
    で、苦痛をできる限り減らします

  • ●女性医師による内視鏡検査
    にも対応しています(ご希望はご相談ください)

  • ●ポリープが見つかった場合
    は、状況に応じてその場で切除を検討します

  • ●忙しい方向けの体制
    (午前中で終わる枠、同日検査など)もご相談いただけます

「怖くて踏み出せない」「過去につらかった」など不安がある方も、遠慮なくご相談ください。

当院の大腸カメラの特徴について

よくある質問(Q&A)

Q1. 痛みがないなら、様子を見てもいいですか?

A. 痛みがない鮮血でも、原因が痔とは限りません。症状だけでは見分けがつかないため、まずは一度ご相談ください。

Q2. 1回だけ血が出ました。受診した方がいいですか?

A. 1回でも「出血した事実」には意味があります。繰り返す前に、早めに診察で状況を整理するのがおすすめです。

Q3. 痔があるので、それが原因だと思うのですが…

A. 痔があっても、ポリープやがんが同時にあることがあります。「痔がある=それだけが原因」とは言い切れないため注意が必要です。

Q4. 大腸カメラが怖いです。痛いですか?

A. 当院では鎮静剤(静脈麻酔)や炭酸ガスを用い、負担をできるだけ軽くする工夫を行っています。「気づいたら終わっていた」と感じる方もいます。

Q5. 鎮静剤を使うと、当日は運転できますか?

A. できません。鎮静剤を使った場合は、当日の車・バイク・自転車の運転は避けてください。公共交通機関や送迎のご準備をお願いします。

Q6. 便が赤いのですが、食べ物の影響のこともありますか?

A. ビーツなどで赤く見えることもありますが、自己判断は難しいです。出血の可能性が否定できない場合は、早めにご相談ください。

外科医として、どうしても伝えたいこと

私は進行した大腸がんの手術を
数多く経験してきました。

その中で強く感じるのは、
「もっと早く見つかっていれば」
という思いです。

 

早期に見つかれば、
・内視鏡だけで治療が完結する
・手術や抗がん剤が不要になる
・手術が必要でも低侵襲で済む
ことが多いです。

 

痛みのない鮮血の血便は、
決して珍しい症状ではありません。

 

しかし同時に、
症状だけでは原因を見分けられないことがある
注意が必要なサインでもあります。

【副院長の経験から】
実際にあったエピソード

実際に、外来でこのような方がいらっしゃいました。

50代の男性の方で、
「排便のあとに鮮やかな血が出るが、痛みはない」
「昔から痔があるので、今回も痔だと思っていました」
と話されていました。

 

お仕事が忙しく、
しばらく様子を見ていたそうですが、
ご家族に勧められて受診されました。

 

念のため大腸カメラで確認したところ、
直腸にポリープが見つかり、
その一部にがんの所見がありました。

 

幸いにも早期の段階で、
内視鏡で治療が可能でした。



大きな手術や抗がん剤治療は
もちろん必要ありませんでした。

 

患者さんは、
「痛くなかったので、正直ここまでとは思っていませんでした」
「思い切って来てよかったです」
と話されていました。



痔だと決めつけず
大腸カメラで奥まで確認する必要性を
改めて確認した症例でした。

※個人情報の観点から、一部の情報を修正しております。

こんな方は早めにご相談ください

  • 鮮やかな血が出るが、痛みはない
  • 血便が一度でもあった
  • 痔があるが、最近血の出方が違う
  • 便が細くなった/残便感がある
  • 20〜30代だが血便が続いている
  • 便潜血検査で陽性と言われた

まとめ

  • ●痛みのない鮮血の血便は、決して安心材料ではない

  • ●痔と直腸がんは、症状だけでは区別できない

  • ●早めの内視鏡検査が、将来の負担を大きく減らす
  •  
  • 「大げさかな?」と思うくらいで構いません。
    迷ったら、まずはご相談ください。

記事監修(この記事の執筆者)

西八王子やまたか消化器・内視鏡クリニック 副院長:山高 謙
・日本外科学会(外科専門医)
・日本消化器内視鏡学会(消化器内視鏡専門医)
・日本消化器内視鏡学会(上部消化管内視鏡スクリーニング認定医)
・日本消化器内視鏡学会(下部消化管内視鏡スクリーニング認定医)
・日本ヘリコバクター学会(H. pylori感染症認定医)
・大腸肛門病学会

※本記事は一般的な医療情報と筆者の臨床経験にもとづく見解を含みます。体質や症状により最適な対応は異なります。心配なときは医療機関でご相談ください。急な強い症状がある場合は、救急受診も検討してください。