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腹痛

腹痛には様々な原因があります

腹痛には様々な原因があります腹痛とは、みぞおちから下腹部にかけて感じる痛みを広く指す言葉です。その痛み方も人によって異なり、「キリキリ」「シクシク」「ズキズキ」など、感じ方は様々です。また、損傷を受けている部位によっても異なります。

原因としては、食道・胃・十二指腸・小腸・大腸などの消化管のほか、膵臓や胆のうなどの消化器、さらには子宮や卵巣などの婦人科系臓器、神経、筋肉に起因するケースもあります。こうした背景から、急な激しい腹痛で受診された場合でも、原因を突き止められないことがあります。

腹痛は多くの人が経験する症状ですが、関連する臓器が広範囲に及ぶため、正確な診断が難しい症状の1つと言えます。

夜中に腹痛で目が覚めてしまう方へ

腹痛は様々な疾患に伴って現れる一般的な症状ですが、夜間に腹痛が生じる背景には、大腸に関わる疾患が潜んでいることがあります。 以下は、夜間の腹痛の原因として考えられる主な疾患です。

  • 大腸がん
  • 過敏性腸症候群(IBS)
  • 虚血性腸炎
  • 潰瘍性大腸炎・クローン病
  • 便秘や腸の閉塞傾向
「夜中は痛みがあるが、日中は落ち着く」=安心ではありません

夜間は副交感神経が優位になり、腸の動きが活発になる時間帯です。そのため、日中は症状が出なくても、夜になると腹痛が起こるという場合、腸の異常が隠れている可能性があります。 以下のような症状がある方は、注意が必要です。

  • 夜中に腹痛によって何度も目が覚める
  • お腹にガスが溜まりやすく、張りを感じることが多い
  • 便秘と下痢を繰り返すなど、排便のリズムが不安定
  • 血便や黒色便(タール便)が出る
  • 便潜血検査で陽性反応が出た

腹痛で受診する目安

腹痛と一口に言っても、痛みの強さや付随症状の有無によって、受診の必要性や緊急性は大きく変わってきます。
以下の目安を参考に、適切に判断しましょう。

様子を見ても良い腹痛

次のような症状であれば、安静にして経過を観察しても差し支えない可能性があります。
ただし、痛みが長引いたり、不安を感じる場合は、早めに医療機関を受診してください。

  • 一時的に痛んだがすぐに治った
  • 痛みはあるが軽度で日常生活に支障がない
  • 一度痛んだが繰り返さない
  • お腹の張りを感じる程度の軽い痛み

その日のうちに受診が必要な腹痛

以下のような症状がある場合は、できるだけ早めに病院を受診しましょう。

  • 腹痛に加えて、38度以上の発熱がある
  • 吐き気や嘔吐、下痢を伴っている
  • 目の白目部分が黄色くなり、尿の色が濃くなっている
  • 少量の吐血が見られる
  • 少量の血便や下血が確認できる

直ちに救急車を呼ぶべき腹痛

以下のような深刻な症状が現れた場合は、迷わず救急車を呼んでください。
命に関わる可能性もあるため、一刻も早い対応が必要です。

  • 強い痛みで立ち上がれない、歩けない
  • 前かがみの姿勢でないと耐えられないほどの激痛
  • 腹痛の後に意識を失った
  • 大量の吐血(コップ1杯以上)がある
  • 大量の血便や下血(コップ1杯以上)が見られる

腹痛を引き起こす消化器疾患

腹痛を引き起こす病気には数多くの種類があります。
ここでは代表的な消化器疾患をご紹介しますが、これ以外にも様々な原因疾患があります。

胃・十二指腸潰瘍

胃や十二指腸の粘膜に炎症が起こり、深く損傷した状態を指します。主な症状はみぞおち(心窩部)の痛みで、悪化すると黒色便(タール便)や吐血を伴うことがあります。治療が遅れると、潰瘍が深くなり、胃や腸に穴があく穿孔が生じる可能性があります。

逆流性食道炎

胃酸などの内容物が食道へ逆流することで、食道の粘膜が炎症を起こす病気です。胸やけや酸っぱいものが込み上げるような感覚とともに、みぞおち周辺に痛みを感じることがあります。

急性虫垂炎(盲腸)

盲腸の先端から突き出した虫垂と呼ばれる器官を、食物残渣などの異物が塞ぐことで炎症が起こる疾患です。一般的には「盲腸」として知られています。初期はみぞおち付近の痛みや吐き気が起こり、次第に右下腹部へと痛みが移動します。重症化すると腹膜炎を引き起こすことがあります。

急性膵炎

膵臓に突然炎症が起きる疾患で、原因の多くは胆石や多量の飲酒です。みぞおちからおへその周囲、さらには背中にかけて強い痛みが出るのが特徴です。

過敏性腸症候群

腸の検査では異常が見られないにもかかわらず、腹痛とともに便秘や下痢を繰り返す状態です。排便によって症状が和らぐ傾向があり、このような状態が3ヶ月以上続く場合に診断されます。

感染性胃腸炎(ノロウイルスやカンピロバクターなど)

ウイルスや細菌による感染が原因で発症します。主な病原体としてはロタウイルス、ノロウイルス、カンピロバクターなどがあり、腹痛、嘔吐、下痢、発熱といった症状が見られます。

便秘

腸の動きが低下したり、便中の水分量の減少に伴い便が硬くなったり、腸管の狭窄などにより、排便がスムーズに行われない状態です。下腹部の痛みや張りを感じることが多く、慢性化すると痔や大腸疾患に繋がる可能性があります。

大腸憩室

大腸壁にポケット状の窪み(憩室)ができた状態です。腹部の不快感や便秘を伴うことがあり、特に下腹部に強い痛みを感じる場合は、憩室に炎症が生じている疑いがあります。下血があるときは、憩室から出血が生じている可能性があります。

大腸がん

初期にはほとんど自覚症状がありませんが、進行すると腹痛、便秘、下痢、血便などの症状が出てくることがあります。

炎症性腸疾患

腸に慢性的な炎症や潰瘍が起こる病気で、腹痛や下痢、血便などを繰り返すのが特徴です。代表的なものには潰瘍性大腸炎やクローン病が挙げられます。

腹痛に対して行う検査

胃カメラ検査

胃カメラ検査胃カメラ検査では、食道から胃、十二指腸にかけての上部消化管の粘膜を、医師が直接観察することができます。粘膜の表面にできた病変や、粘膜の下に隠れた異常なども確認でき、必要に応じて病変部の組織を採取し、確定診断に繋げることが可能です。

また、出血を伴う潰瘍に対しては、その場で止血処置を行ったり、ポリープが見つかれば切除することもでき、検査と同時に治療を行える点も大きな特長です。

当院では、内視鏡の専門医・指導医の資格を有し、多数の症例を担当してきた医師が検査を担当しています。丁寧かつ迅速な対応を心がけることで、患者様の身体的負担を最小限に抑えた検査を実施しております。

胃カメラ検査について

大腸カメラ検査

大腸カメラ検査下腹部の痛みが続いていたり、便秘・下痢を繰り返している方、あるいは鮮血便や粘液の混じった血便が見られる場合、大腸の異常が疑われます。こうした症状の原因を詳しく調べるためには、大腸カメラ検査が有効です。

この検査では、肛門からスコープを挿入し、複雑に曲がりくねった全長およそ2メートルの大腸の粘膜を隈なく観察します。粘膜の表面だけでなく、病変の位置や形状も詳細に確認できるため、原因となる疾患の早期発見に繋がります。

大腸は構造が複雑でスコープの操作にも高度なスキルが求められますが、当院では、豊富な経験と専門資格を持つ医師が先進的な内視鏡システムを用いて検査を行っています。技術と設備の両面から、患者様の苦痛を軽減しつつ、正確で安全な検査を提供しております。

大腸カメラ検査について